井原山
四季を通じて草花が楽しめる、植生豊かな山
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脊振山系第2の高峰です。花の名峰と呼ばれる井原山(いわらやま)は、豊かな植生が魅力です。沢や植物を観察しながら、森林浴を満喫しましょう。
頂上には、360度に広がる景色が楽しめます。脊振山・金山・雷山などの脊振山系の雄大な山並み、青く輝く玄界灘の景色は最高です。
【特集 深堀り取材】もっと知りたい!井原山
豊かな植生が魅力の山
春の井原山を歩く
標高982m、花の名峰といわれる井原山(いわらやま)は、7月下旬に見ごろを迎えるオオキツネノカミソリがよく知られていますが、1年を通して豊かな植物や花を楽しむことができる魅力的な山。植物好きにとっては、それはもう心躍る山なのです。
5月中旬、『糸島植物友の会』のメンバーの案内のもと、井原山を散策してきました。スタートは、瑞梅寺登山口キトク橋。アンノ滝を目指して歩いていきます。
瑞梅寺登山口キトク橋の駐車場に到着するやいなや、もうすでに、糸島植物友の会メンバーは、それぞれ植物観察を始めています。
「これは、紙の原料になるコウゾの木です。花が咲いていますね。ヒメコウゾとカジノキの雑種とされ、トゲトゲしているのは、雌花。ヒメコウゾは、雄花と雌花が1本の木に咲きます。ヒメコウゾと異なり、1本の木に雄花と雌花のどちらか1種類しか咲かないのが、コウゾ。それと葉の様子や形、幹の色などを見れば違いが分かります」と教えてくれたのは、糸島植物友の会会長の下川淳一さん。
簡単な体操をしてから、改めて井原山散策をスタート。少し歩いては、植物の名前が飛び交います。わずか30メートルほどしか歩いていないのに、ヤブジラミ、ハナウド、ナンゴクウラシマソウ、ムサシアブミ、コガクウツギ、ニッケイ、コアカソなど聞きなれない植物やお花を目にすることができました。しかし、恥ずかしながら、初めて聞く名前ばかり。歩いては立ち止まり、その植物に関してメンバー間で知識を深め合っていきます。
見たことのあるピンクの可愛らしいお花が咲いています。このお花の名前は、オドリコソウ。このお花の名前は、記憶にインプットされました。
「一度見て聞いただけでは、とても覚えられませんよ。4、5年通ったら自然と覚えられますよ」と、同会のメンバーの声が聞こえてきます。
イヌガヤ、ゼンマイ、オオアリドオシ、ヤマアイ、イワガネ、コゴメウツギ、エゴノキ、ヤエムグラ、コハコベ、クマワラビ、コガクウツギ、ミツバアケビ、アカネ、サンショウ、ヘビイチゴ、トウバナ、コバンノキ、ウマノアシガタ、ジシバリ、オオチャルメルソウ、オオサンショウソウ、ニワトコ、モミジウリノキ、ノブキ…。
写真を撮るのに夢中でメモすら取れず、いろいろと細かい内容を教えていただきましたが、残念ながらあまり覚えておりません。ヤブムラサキという葉が、触り心地がビロードのようだったことはしっかりと記憶に残っています。
ただ一つ分かったことは、目を凝らすと、井原山にはたくさんの植物が育まれていること。そんな小さなひとつひとつの植物は、四季折々変化を遂げながら、その時々で美しい姿を見せてくれます。ただ、それに気づくか気づかないかは、私たち見る側次第。気づける自分でいたいものです。
通常、瑞梅寺登山口キトク橋からアンノ滝までは、歩いて1時間ほど。井原山山頂の看板が見えたら、約半分歩いてきたことになります。ここからの道は、川の上にある小さな橋を渡ったり、段差のある岩を登ったりと、散策自体を楽しめます。
途中で休憩をはさみ、ゆっくりと植物を観察しながら歩くこと、約2時間半。ようやくアンノ滝に到着。滝の近くにいくと、ひんやり寒いぐらいです。ここでお弁当を食べ、しばしひと休み。「こういう時間が、一番幸せ」とつぶやく下川さんの言葉に同感です。
糸島植物友の会は、今年で発足から56年目を迎えます。目的は、自然に親しみながら楽しく糸島の植物を観察し、自然を守り、未来の子どもたちに糸島の豊かな自然を引き継ぎ、さらに自分たちの健康を育むこと。現在、約50人で活動を行っていますが、多い時(30年ほど前)には、100人近くの会員さんがいたそうです。月に1度、植物を観察しながら野山を歩きます。
「ひと月に1度、山にいけるのが皆さん楽しみ。いかにも山登りではなく、ゆるやかに自然を愛でながらゆっくり歩くのがいい」「コロナ禍で、よそに行かなくても、糸島で十分植物が観察できた。糸島はそれだけ自然豊か」など、メンバーたちの声が聞こえてきます。
ただ、メンバーの皆さん、懸念していることもあります。
「昔に比べ、井原山にしても植物が減っています。温暖化などの気候変動の影響もあると思いますが、一番はオーバーユースのように思います。人が増えると植物が減る。人が通ることで植物が踏まれ途絶えてしまったり、持ち帰ってしまったりする人もいます。ある山では、希少植物を保護するため、その植物を囲うなどして保護しているところもあるほどです」
糸島は、井原山をはじめ、雷山・羽金山、可也山・立石山・火山、高祖山、二丈岳・女岳・浮嶽・十坊山など個性豊かな山があり、山歩きが楽しめます。山歩きは、低山といえでもしっかりと山登りの準備をし、これからの季節は特に熱中症対策をしながら、山登りを楽しみましょう!(2024/5/19)
【糸島植物友の会・令和6年度(2024)行事計画】
6/23 高島(佐賀県唐津市)
7/28 ★芥屋・黒磯海岸(糸島市志摩)
8/25 福岡市植物園(福岡市中央区)
9/22 ★白糸の滝自然歩道(糸島市前原)
10/27 室見川河畔(福岡市西区)
11/24 高良山(久留米市)
12/15 ★糸島市体育館付近散策・総会(糸島市前原)
※本年度は糸島市内が少なめ。例年は年に8回程度は糸島市内
年会費:4000円
問合せ:糸島市観光協会(092-322-2098)にお問合せください。
植物友の会の連絡先をお知らせいたします。
基本情報
- 名称
- 井原山
- よみがな
- いわらやま
- 所在地
- 糸島市瑞梅寺(井原山中腹) Google Map
- 駐車場
- 約10台(水無登山口)
約10台(瑞梅寺登山口キトク橋)
※瑞梅寺登山口キトク橋から、水無登山口まで、令和6年7月の大雨で道路が崩落し車両通行止めです。
徒歩で行くと1時間半程度かかります。
水無登山口にあるトイレも一時閉鎖にしています。