特集:岐志漁港から船で約15分、姫島へ

猫の島としても知られる姫島

糸島半島の西にある周囲3.8㎞の小さな島が姫島。冬から春にかけて牡蠣小屋で賑わう岐志漁港から渡船『ひめしま』に乗って、島民約140人と猫たちが暮らす姫島へ行ってきました。

約15分で姫島へ到着。猫が出迎えてくれます

今回の姫島旅は、3月1日に行われた『姫島しま旅モニターツアー』の同行旅。初めての姫島ということで、期待が高まります。岐志漁港から渡船『ひめしま』に乗り込み、早速姫島旅のスタートです。

姫島~岐志航路(運行時間約16分、大人470円・小人240円)
3~10月
姫島発/7:00、9:50、14:20、17:10
岐志発/7:50、11:50、16:00、18:10
11月~2月
姫島発/7:00、9:50、14:20、17:10
岐志発/7:50、11:50、16:00、17:50
問合せ/糸島市コミュニティ推進課 電話092-332-2062

約16分で姫島港に到着。短い時間でしたが、船に乗るだけでどこか遠くへ来たかのような気持ちになってしまうので不思議です。姫島に着いたら、まずは姫島公民館で昼食です。姫島公民館は港から歩いて約5分。早速、姫島公民館近くで猫に出会いました。姫島は猫島としても知られている島。NHKが放映している『岩合光昭の世界ネコ歩き』の2021年6月8日放送では、姫島が取り上げられていました。

刺身、竜田揚げ、具そうめんなど、姫島の郷土料理と特鮮本鰆(ほんさわら)に大満足

食は、旅の最大の楽しみでもあります。残念ながら、現在、姫島には飲食店がありません。本日はモニターツアーということで、料理研究家の佐藤彰子さんと島の皆さんが昼食を用意してくださいました。なんと、佐藤さんの祖父は姫島で漁師をしていたとのこと。

サバの押し寿司、具そうめん、特選本鰆を使った炙り(刺身)・竜田揚げ・おにぎり、玉ねぎの酢漬けなど、食べる前から、美味しさを確信できます。

ピンクと緑のでんぶが上にのったサバの押し寿司は、お祝いごとの定番料理として姫島で食べられている郷土料理。中には、ゴボウ、干しシイタケ、塩サバを甘辛く炊いた具が入っています。酢飯はやや甘めで、炊飯器の中に酢を入れてご飯を炊き、蒸らすときに砂糖を加えるのだとか。

同じく姫島の郷土料理である具そうめんは、姫島らしく魚入り。今回は特製本鰆を使用。通常は、塩サバやそのときにある魚(アジやタイ)で作ることが多いとのこと。具材と魚を水から炊いて、甘辛醤油で味付け(今回は昆布も加えて)。

炙りの刺身、おにぎり、竜田揚げに使われていたのは、特鮮本鰆(ほんさわら)。糸島市でブランド化している鰆で、重さ2.5㎏以上、釣ってすぐに船の上でしめて6時間以上海水氷水につけた(高鮮度処理)もの。全国的に価値が高く人気の特鮮本鰆は、10月から3月にかけてが食べごろです。

姫島をぐるっと歩いて探索

お腹が満たされた後は、姫島歩き。お昼ご飯で姫島旅の満足度は最高潮に達したのですが、旅はまだまだこれからです。

民家と民家の間の細い路地を歩きます。時おり海が見えます。

高杉晋作と心通わせた野村望東尼(のむらぼうとうに)の獄舎跡

姫島といったら、知る人ぞ知る野村望東尼の獄舎跡があることでも知られています。幕末期、女流歌人であり勤王家であった野村望東尼は平尾山荘に住んでおり、数多くの志士が訪れたそうです。1865年、野村望東尼は勤王の志士をかくまった罪で姫島に流され、幽閉10カ月後、かつてかくまった高杉晋作の命によって救出されました。「おもしろきこともなき世をおもしろく」は高杉晋作が残した句ですが、「すみなしものは心なりけり」と下の句に付け加えたのは野村望東尼。高杉晋作と野村望東尼の関係性が、垣間見えます。

2025年5月17日、野村望東尼サミットが姫島で開催されます。開催に向けて、当時の獄舎跡を再現するための工事が進んでいました。

こんな学校に通いたい!木造校舎が魅力の姫島小学校

続いて訪れたのは、姫島小・志摩中姫島分校です。ユニークな造りの木造校舎。地域の人たちのご厚意で、特別に奥にある校舎の中に入ることができました。

中に入ると、六角形の屋根の形状が分かります。入ってすぐ吹き抜けのホールがあり、ホールを囲むように教室があります。

2階の教室の屋根は、屋根裏感が漂っています。窓も多くて開放的。なんと贅沢な小学校でしょうか。ここに暮らしたいぐらいです。

現在、小学生8人、中学生2人の計10人がここで学んでいます。小学校の目の前には海が広がっています。こんなすてきな環境で育った子どもたちは、将来どうなるか楽しみです。

玄界灘を一望できる、鎮山(ちんやま)登山

1時間ほど散策した後は、標高186mの鎮山登山。「今から山!?」という声が聞こえてきそう(実際に聞こえてきました)ですが、約1時間かけて登ります。

頂上からは、芥屋の大門をはじめ、玄界灘を一望できます。お天気が崩れてきたため足早に帰路へ。今回ガイドを担当したのは、糸島観光フレッシュガイド。歴女史男の伊都国マンポー(ウォーキングイベント)を定期的に開催していて、4月27日(日)は、姫島に渡り野村望東尼の御堂を巡ります。さらに、鎮山登山などを行い、玄界灘を眺望。ぜひ、ご参加ください!詳細はこちらから

安産の神様として知られる姫島神社へ

帰り道、姫島神社へ立ち寄りました。神社からの見晴らしも最高です。姫島神社には、豊玉姫命、ウガヤフキアエズノミコトなどがまつられていて、安産の神様として地域の人たちに親しまれています。

姫島神社からすぐ、御朱印を求めて、島唯一の店シーガルショップへ。シーガルショップの中やテラスにはベンチやテーブルがあるので、休憩することができます。

渡船に乗って、岐志漁港に戻ります。小腹がすいたので、シーガルショップで売っていた猫のクッキーを食べながら。たまたま隣り合わせた人と姫島話で盛り上がっていると、あっという間に到着。

家に帰ると、すぐにまた姫島に行きたくなりました。島に根付く魚料理、子どもたちが学ぶすてきな木造校舎、港でまどろんでいる猫たち、久しぶりの山登り。恥ずかしながらあまり知ることのなかった野村望東尼の生きざま。そして、そんな彼女を温かく受け入れいていた島民たち。

姫島の人たちの暮らしに溶け込むように、ぜひ姫島を訪れてみてください。猫たちのようにまどろむようにのんびりと、島を感じてみてはいかがでしょうか。いつの日か島の人たちの手料理が食べられる小さな島の食堂ができることを望みつつ・・・(2025/3/4)。

基本情報

開催日時
2025年3月4日~