日本一の糸島天然真鯛について

「百魚の王」として、古くから日本人に愛される真鯛(マダイ)。
糸島市は、2012年から2019年の間、2位以下を大きく離し、8年連続天然真鯛の漁獲量日本一でした。
(2020年以降は、農林水産省から海面漁業生産統計調査の発表がされていません)

一方で、「糸島天然真鯛」にまつわる歴史や背景については、あまり知られていません。
ここで少し、豊かな海の幸を育む玄界灘と漁師の営みについてご紹介します。

玄界灘の恵みー好条件が重なる糸島の地形と玄界灘ー

九州の北西部に広がる玄界灘。海底には、「大陸棚」と呼ばれる水深100mほどの浅い海が広がります。そこに南から流れ込む暖流「対馬海流」に乗って、多種多様な魚が回遊し、1年を通して多くの魚介類が水揚げされる「日本有数の漁場」となっています。

浅い海は潮の流れが速くなるため、そこを泳ぐマダイは潮の流れで鍛えられて身が締まり、味が良くなるといわれています。また、海と山の距離が近い糸島半島は、河川から森の養分を含んだ水が流れ込みやすい地形であることも、好漁場の要因の一つです。

マダイは、水深30~50mの起伏ある瀬の周りで産卵し、成魚になると生まれた場所に帰ってくる習性を持っています。玄界灘の中でも、糸島半島北部一帯の海域は、起伏に富んだ地形をしているため、マダイの産卵場所に適しています。そして、成魚となったマダイは再び糸島の海に回帰します。

この地で、マダイが捕れるのはそのためで、昔からマダイ漁が盛んであることは、その生態サイクルが千年以上続いている証拠。そして、糸島の自然と玄界灘の環境が破壊されずに守られてきた証しです。

伝統の「吾智網漁」

そして天然真鯛の漁獲量日本一を支えるのは、昔から継承されてきた「吾智網漁」という伝統漁法です。円形の網の両端に引き綱をつけて包囲網をつくり魚を獲る漁法で、江戸時代から続いています。広大な海で、どこでも網を下せば捕れるというものではなく、漁師の経験と勘が必要なため、「吾の智恵」という名前になったといわれています。

▲日本山海名産図絵(1799年)国文学研究資料館所蔵 千年以上も前から吾智網漁が行われていたことがわかる

糸島の美味しい天然真鯛は、古より守り継がれている
「恵まれた大自然」と「漁師さんの営み」のおかげ

▲美味しい真鯛が取れるまで(イメージ)

時には人の命を奪うほどの厳しさを持ちながら、同時に尽きることのない恵みをもたらしてきた玄界灘。
そして、その厳しさと向き合いながら、自然を敬い、生きていくための知恵と技を継承してきた「漁師の営み」。
これら糸島の自然と、そこに住む人の生業が織り成す千年の営みこそが、糸島の宝であり、その証しが糸島が誇る「日本一の糸島天然真鯛」ではないでしょうか。

『糸島真鯛フェア』では、各店舗で糸島の天然真鯛を使ったバラエティに富んだ料理が提供されています。
そんな古から続く時の流れと人々の営みに想いを巡らせながら、ぜひ糸島の真鯛をご堪能ください。

糸島人 Itoshimabito ~海人~

糸島市で暮らす人、『糸島人』の生き様を描いた糸島市PR動画です。
福吉漁港を舞台に、「一双吾智網漁」に生きる親子や、海とや山を崇拝する地域独特の文化などが紹介されています。

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